正念場となる2023年。新年もどうぞよろしくお願い致します。
<沖縄意見広告運動・事務局一同>
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憲法の平和主義を踏みにじる
「平和国家」から「戦争国家」への転換を許してはなりません
参議院議員 伊波洋一
新春を迎え、沖縄を含め日本とアジアの平和を願う皆様に心から敬意をこめて新年のご挨拶を申し上げます。皆様には第14期沖縄意見広告掲載に向けた取り組みにご協力いただいていることに感謝申し上げます。
私たちは、辺野古埋立ての再開、許さない
私たちは「普天間基地の即時閉鎖!辺野古新基地建設は断念を!米海兵隊は撤退を!」を大きく掲げて取り組んでまいりました。辺野古新基地建設は大浦湾海底で広大な超軟弱地盤と活断層が見つかり、新基地建設工事は困難です。2021年11月25日に玉城デニー沖縄県知事が、国の埋立て変更承認申請を不承認にして大浦湾側の埋立て工事は停止されています。しかし、政府は工事を強行しようと建設利権ともいうべき辺野古側への土砂搬入を続けています。決して埋立ての再開を許してはなりません。
安倍政権によって出来上がった
日本の対中国戦争に参戦する仕組み
安倍政権が開始した南西諸島への自衛隊ミサイル基地建設は、今年3月に当初計画の奄美大島、沖縄本島、宮古島、石垣島への陸自地対艦ミサイル部隊と陸自地対空ミサイル部隊等の配備や与那国島の最前線偵察基地が揃う予定です。尖閣諸島防衛と言ってきた「南西シフト」が、「台湾有事」への参戦準備であったことが明らかになりました。安倍政権は14年7月1日に「集団的自衛権の行使」は可能だとする「解釈改憲」の閣議決定を行い、15年に「安保関連法案(戦争法案)」を提出し、同年7月16日に衆院本会議で強行可決し、9月19日に参院本会議で強行可決成立させて16年3月29日に施行され、日本は直接に攻撃されなくでも集団的自衛権の行使としての戦争ができる国になりました。「台湾有事」を「重要影響事態」や「存立危機事態」と認定して、日本が対中戦争に参戦する仕組みが出来上がっていることを、憂慮しなければなりません。
すでに、日米政府は昨年1月7日の日米外務・防衛閣僚級協議で日本政府の「需要影響事態」の認定で米海兵隊が自衛隊の支援を受けて南西諸島に臨時的な攻撃拠点を置き、海兵隊の高機動ロケット砲などを配置し、自衛隊に輸送や弾薬の提供、燃料補給などの後方支援を担わせる「日米共同作戦計画」策定に合意し、昨年11月の日米共同軍事演習「キーン・ソード23」は、その演習でした。すでに米軍機の飛低空行訓練や米海兵隊と陸上自衛隊の共同演習・訓練が2年以上前から沖縄や全国各地の演習場で繰り返されてきました。
岸田政権の防衛3文書改訂-敵基地攻撃ミサイル配備
米戦略に沿った「敵」への「宣戦布告」の予告、日本が標的に
さらに、岸田内閣は、先月12月16日に敵基地攻撃ミサイル配備を主内容とする防衛3文書改定の閣議決定を行い、現行GDP比1%の防衛費を27年度に2%にするために5年間で総額43兆円の大軍拡増税を行い、10年以内に2千発近くの敵基地攻撃ミサイルを配備し、主要な司令部の地下施設化を進めることを明らかにしました。名指しされた国々には「宣戦布告」の予告と受け取られかねず、日本全体が標的となる怖れがあります。
英国のガーディアン紙は、今回の3文書閣議決定を「70年間の平和主義を放棄し、先制攻撃を『反撃能力』と言い換えて1,000発以上の敵基地攻撃長距離巡航ミサイルを配備する予定で、日本は中国を安全保障上の脅威と特定した」と指摘しました。
今回の防衛3部文書改訂の閣議決定は、「日中共同声明」や「日中平和友好条約」への言及もなく、中国をあからさまに批判し、極めて深刻な日中対立状況を生み出しかねないものとなっています。一方、我が国政府が日米同盟への依存を強調する中で、現実の米軍は台湾有事で中国のミサイル攻撃を避けるために日本から退避し、日本を守るための中国攻撃はしないことを明らかにしています。米軍が日本を守らないからこそ、日本自ら敵基地攻撃ミサイルを配備しているのです。米国の対中国戦略は、核弾道ミサイルによる報復を避けるために、決して、米国が直接に中国を攻撃せず、同盟国に攻撃させることによって報復攻撃を避けるものです。日本が1千発近くの敵基地攻撃ミサイル配備を防衛文書で表明したことで中国の報復が日本に向かう流れができたことは、米軍戦略に沿うものです。
日中平和友好条約を踏まえ
「平和主義」を守りぬこう!
今日、日中貿易は我が国の総貿易総量の26.5%を占め、アメリカ14%に較べても、我が国の経済活動においても中国は最重要国であり、1978年に締結した日中平和友好条約においても「すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する」としています。さらに中国のGDPは我が国の3倍を超え、軍事費は5倍もある中で、岸田内閣が、国会議論もなく日本国憲法の平和主義を踏みにじり、敵基地攻撃ミサイル配備の大軍拡戦略を打ち出して「平和国家」から「戦争国家」への転換を打ち出したことを許してはなりません。主権者たる国民一人一人が立ち上がり「平和主義」を守りぬきましょう。
(タイトル、中見出しは編集部の責任で付けています。)
